初めてでも簡単にできる包丁の研ぎ方
切れない包丁で野菜やお魚を切るとウマみや甘みが減り、
逆にニガみや酸味が増すといいます。
どんな包丁でも徐々に切れ味は落ちるので、
気づかない間にあなたの料理の味も落ちているかもしれません。
ここでは包丁を研いだ経験がない人のために、
簡単に包丁を研ぐ方法をご紹介します。
■用意するモノ
1)包丁2)トゲール(補助具)
3)砥石(まずは#1000)
4)面直し砥石
※布巾、砥石台など

1)包丁
ここでは三徳包丁など、ご家庭で使う包丁(両刃)について説明します。パン切り包丁などの波刃の包丁は研げません。

2)トゲール(補助具)
研ぐ包丁の角度を一定に保つための道具。これを使うことで「初めてでも」簡単に研ぐことができます。

3)砥石
中砥(なかと)と呼ばれる砥石を準備します。中砥はご家庭で切れ味が落ちたかな?と思ったときに使う砥石です。
今回はキングデラックス(1000番)を使用します。

4)面直し砥石
面直し砥石は、砥石を平面にするために使います。砥石は5分も使えば平面がへこんできます。
へこんだ砥石で包丁を研いでも正しく研ぐことができず、
いつまでたっても切れる包丁になりません。
(ここではポーラス水平君を使います)

その他、砥石が滑らないようにするための布巾(ふきん)や、
砥石を固定するための砥石台(マリーの砥石台やワンツゥスリーの砥石台)があると便利です。

■包丁を研ぐ
1)砥石を水に浸け、給水させる2)補助具を包丁にセット
3)包丁を研ぐ
4)カエリが出たか確認
5)カエリを取る
6)切れ味を確認する
1)砥石を水に浸け、給水させる
水を入れたトレイや桶などに砥石を入れます。水は砥石の半分くらいが浸かるくらいでOKです。
砥石の上の面を水につからないようにすることで、砥石に水が吸い込まれているかどうかが分かります。
下の図の(6)になるまで待ちます。
(見ているとグングン水を吸って行くのが分かります。)

なお、砥石には2種類あり、水を給水させる必要があるものと、そうで無いものがあります。
今回は給水させる必要があるものを使いました。
2)トゲール(補助具)を包丁にセットする
トゲールは、包丁を研ぐ角度を一定に保つための道具です。研ぎに慣れていない人はこの研ぐ角度を安定させるのが難しく、正しく包丁を研げません。
トゲールを使うことで「初めてでも」研ぐことができます。
セットの仕方は、まず包丁の背(峰)に写真のように差し込みます。

差し込んだ位置を支点にし、回転させながらはめ込みます。

3)研ぎます
写真のように、包丁のハンドルを右手(利き手)で持ち、左手(利き手と反対)の指二本を刀身にあてます。あまり力を入れず滑らかに前後に動かします。包丁は切っ先の方から順番に刃中、刃もとに向かって研ぐ部分をずらしていきます。
ストロークは長めに、砥石は全体(上から下まで)を使うようにします。
砥石は、包丁が充たったところが徐々にへこんできます。砥石を部分的に集中的に使うと表面がデコボコになり、すぐに正しく研げなくなります。そのためできるだけ全体を使うようにしましょう。
しばらく研ぐと刃先に指で触るとわかる程度のカエリ(バリ、刃返り、まくれ、引っかかり)が出ます。
切っ先から刃もとまで全体にカエリが出たら、包丁を逆にします。


4)裏面を研ぐ
包丁を裏返し、裏面を研ぎます。刃もとを研ぐ時は、ハンドルが砥石にあたってしまうので、写真のような角度で研ぐとやりやすいです。

5)カエリ(バリ)を取る
全体にカエリが出ているのを確認したら、新聞紙を平らなところに広げて、両面の刃先をこすってカエリを取ります。試し切りをしてみて引っかかり無くスムーズに切れれば研ぎは終わりです。引っ掛かりがある時はその部分にカエリが残っているかもしれないので、もう一度新聞でこすってください。
※砥石のメンテナンス
包丁を研ぐと砥石はへこみます。へこんだ砥石で包丁を研ぐと、研ぐ角度が安定せずうまく研ぐことができません。へこんだ砥石は必ず面直し砥石を使って平らになるまで削ってください。平らになったかどうかを確認する方法は、砥石の表面についた黒い研ぎ跡が無くなるまで、が目安です。また、砥石の面を直すタイミングは、包丁を研ぐ前が良いです。砥石は気温の変化や乾燥などで微小ですが変形するため、研ぐ前に平面にした方が正しく包丁を研ぐことができるためです。

■まとめ
どんな包丁でも切れ味は徐々に落ちていきます。切れ味の落ちた包丁で野菜、魚などを切ると旨みやに甘みが減り、苦みや酸味が増えるといいます。ここでご紹介した道具を揃えれば初めてでも簡単に包丁を研ぐことができ、包丁の切れ味を戻すことができます。今まで面倒だなと敬遠していた人も、美味しい料理を作るために、是非包丁の研ぎにチャレンジしてみてください。